マジックにおいて場を読むのは基本である
しかしながらそれをきちんと出来るプレイヤーは意外に少ない
一部のコントロール偏重的な環境の時期でなければば、場を読む能力の差は致命的になる
個人的な意見でいえば私はカウンター系コントロールを好まない
この手のデッキは場を読まなくてもいい状況を作って勝つことを目的としているからだ
ただ、パーミッションデッキというものはいわば完封勝利のような試合展開で勝てるため
勝ったときの爽快感みたいなものがあり、また自分が強かったような錯覚を起こしやすい
但し、相当な手練が使用するパーミッションは場を読み、ビート相手に綿密なダメージレースで勝つことも出来る
しかしそんな勝利シーンはハイレベルなプレイヤーにしか見せられないもので、そういうプレイヤーはビートダウンを使っても当然強い
「俺はビート苦手だからコントロール使うんだ」というプレイヤーを良く見かけるが、これは「自分は場がみれない下手くそです」と公言しているようなものである
現環境はビートダウンが十分な強さを持っている、つまり場を見れなければ勝てない度合いが強い環境である

場を見るということ

一口に場を見る、といったがこれは単純にパーマネントだけという意味ではない
立っている土地と相手の起こしうるアクションを含めて「場を見る」のだ
留意点としては

1.有利、不利、膠着のいずれの状態か
2.その状態がどちらに動き得る可能性が高いのか
3.対処可能か
4.不自然なことはないか
5.行動の順序
などが挙げられる
個別で考えてみよう

1について正確に把握すると
有利→この状態が継続すればゲームに勝利できる状態
不利→この状態が継続すればゲームに敗北する状態
膠着→そのどちらでもない状態

もうすこし具体化すれば有利とはこちらの確定的クロックによる勝利ターン数が
相手の確定的クロックによる敗北ターン数より少ない状態を指す
この際重要なのがクロックの有無とそのクロックが本当に確定的か?ということである
両方の条件が揃って初めて有利となり得る
有利になった場合にまず考えなければならないのは「そのターンに勝つ」ことである
これは「次のターンに勝つ」とは大きく異なる
次のターンも有利でいられる保障など何もない、もしこのターン勝つことができそうなら
そのプランは積極的に採用すべきである

2について
まず前提としてだが有利、不利というのは不安定な状態で膠着がもっとも起こりやすい安定した場の姿だということを認識する
良く例に挙げられるケースとして3/3が1体に対して2/2が2体いる場合は膠着と言って良いだろう
しかし、厳密に言えばこの場合2/2が2体いるほうが有利になりやすい
横に広がっているほうが瞬間の確定クロックが得られやすいからだ
もし、相手のライフが2ならこれは「有利」の条件を満たすのに対し3/3側は満たせないことからも言える
状態の趨勢の把握はこういった膠着の状態で自らのゲームスピードのプラン作成に重要なウエイトを占める
ビートダウンにおいて仕掛けのターンを間違うのは致命的だ

3の意味するところは広範囲だ
対処というのは除去やコンバットトリックだけではない
例えるなら「ブロックしないなら殴る」ということであったり
「やられた時点で負け確定の相手の行動はケアしない」などである
つまりどうしようもないことは受け入れた上で最善の行動をとることである

4は一種の危機察知だ、簡単なところで全体除去を打たれる前の違和感
状況にそぐわないチャンプブロックのあとのトリックなどがそうだ
マジックは上級者になればなるほど無駄な行動をしない
従ってそういった違和感を感じたときは単なる相手のミスなどという都合のいい期待をもたないことである

5はどちらかといえば場を「つくる」技術ともいえる
複数の行動を取る場合はその順序が特に重要になることが多い
スペルのキャスト順、コンバットをどこで行うかなどは細心の注意が必要である

ここで述べる内容はそれぞれが実はものすごく奥が深い
熟練のプレイヤーでも数々のミスを犯すものだが、これらの精度が高いプレイヤーは間違いなく強い
個々の行動の精度の高さは威圧感としてプレイヤーの存在感を高める
あなたは対戦相手が座った瞬間に強者のオーラみたいなものを感じたことがあるだろうか?私はある
その相手はまだ有名になる遥か前の三原槙人だった
それはまだ大分にいたころ、私はトーナメントに参加したこともなかった初心者だった
当時は覚えたての初心者だった私は店舗の大会でも5割程度の成績しか残せなかったので普通のプレイヤーにもよく負けていた
しかし、彼との対戦は別物でどれだけこちらが優位に見えても三原のライフは0になることがなかった
素人目にも彼の所作が完璧に近いものであったことを感じられたのだから大概である
今でも強いプレイヤーが目の前に座ればやはり何かを感じる、そのたびに強者というものは
「当たり前のことをいつでも当たり前にできる」者だということを思い知らされる

ケーススタディをしてみよう
1の場合の失敗
・場が有利、または膠着であるのに全体除去をうってしまう
・場の優位を得るのに無関係なものを場に投入する
2の場合の失敗
・勝てるターンに決めることをためらう
・負けるわけでもないのに大きなダメージの応酬を避ける
・弱いパーマネント(クリーチャー)の浪費、チャンプ
3の場合の失敗
・あったらどのみち負けるのに勝負を賭けない
・対処不能なことをケアしようとする
・レアケースを意識しすぎる
・カウンターを恐れて動くべきところで動かない
・相手が確定でしなければならない行動をカウンターをもってるブラフでしのごうとする
4の場合の失敗
・不自然さの中にある相手の意図をよみとろうとしない
・相手の立場になって考えない
5の場合の失敗
・コンバットの前にマナを使い切る
・インスタントの先打ち
・結果の選択権を相手に与える順序の行動
・不用意なタップアウト

モデルケース
サイド後
白青人間
場、青マナもでる4マナ、サリア、トラフト
ジャンド
死儀礼、1マナタップ、残り3マナ
この状態でサリアとトラフトが攻撃、トラフトを死儀礼がブロックして戦闘を終えた
その後白青は教区の勇者を追加してカウンターを構えたフリ(実際は持たず)をしてクリーチャーを展開せずエンド
エンド時にゴルガリの魔除けで全滅という流れになった

振り返ってみよう
まず死儀礼のブロックは明らかに不自然である
瞬速クリーチャーなら戦闘時に出るべきだからスペルしかありえない
そしてサリアのみを除去するならエンドに除去をうつとしても死儀礼のブロックが無駄になる
おのずとー1/-1除去であることが明白となる、実は青白にはハンドに2/2もいたのだがダメージ効率とカウンターブラフを優先した
さて、このカウンターブラフだが当然ながら全く意味をなさない
防御側はすでにパーマネントを差し出しているのだからカウンターがあるかもしれないからといって引くわけには行かないのだ

総じてゲームというものは主観でモノを見ると本質を見失いやすい
一歩引いて俯瞰で眺めることこそ重要である

コメント

ゆきあ
2013年1月29日19:48

大変深く、また環境に左右されないテキストが非常に参考になりました。
リンクさせて頂きます。

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